二人で眠ったその次に

 ……あ? 誰だ、お前。  俺、一度会った女の顔と名前は忘れねーし。人違いじゃね?  オイオイ、勝手に納得すんなよ。こっちには聞きたいことがあるっつーの。  言ったろ? 一度会った女の顔と名前は忘れねーって。だからアンタの名前、教えてくれよ。次に会ったときは、絶対忘れねーからよ。  へえ、いい名前してんじゃん。  俺は沙明、シャー・ミンだ。ミンって呼んでくりゃいいぜ。  ……オイ、ミンって呼んでくれねーのかよ。ま、別にいいけどな。  で? このミン君と誰を間違えたんだ?  ……それってつまり、昔の恋人ってことか?   アッハ、それってアンタの好みが俺ってことじゃね? 俺ぁいつでもウェルカァーム! ってな!  それで口説いてるつもりじゃねーってのは無理あんだろ。今からベッドに行くってのも俺は一向に構わないですよ?  んだよケチ臭ぇな……アンタの方から口説いてきたくせによ。  ああ、そういやLeviが言ってたな。グノーシア反応が出たから話し合いに参加しろ、ってか? んなもんサボっちまえばいいんだよ。んなことよりナニする方がお互い楽しいだろ?  冷てぇ反応すんのなお前……初対面で口説いてきた女とは思えねーわ……。  仕方ねーな。そこまで言うなら降参だわ。適当に参加して適当に部屋に戻りますかね。  あ? 何でそんな不安そうな顔してんだよ。グノーシアのことか? ここで不安がっても仕方ねーだろ。悩むだけソンだぜ?  ……そのことか? 言ってんだろ。一度会った女の顔と名前は、絶対忘れねーって。  何そんなに泣きそうな顔してんだよ。俺、そんなに忘れっぽそうに見えますかね。  ま、二人で生き残ろうぜ。で、行く宛ねーってなら、俺と二人でこの船を降りようぜ。  そうしたらお前も、俺がお前の名前を忘れるかもなんて、不安がる必要もないだろ?

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